『起業の天才』
大西康之（著）　東洋経済新報社
（Amazon：https://bit.ly/42kDW6A）

8兆円企業リクルートを創った男、江副浩正氏の評伝をノンフィクションの名手として知られる著者が書いた一冊。気になる記述は、

■江副は「均質化」を恐れた。東京の裕福な家庭で育った東大卒ばかりを集めたのでは、霞ヶ関と変わらない。時代を切り開くパワーは生まれてこないだろう。「人事の天才」江副は、「東京、金持ち、エリート」に「地方、貧乏、野望」をぶつけて化学反応を起こそうと考えた

■「日経とリクルートが組んで、なぜ地図なんだ」両社の社内でも、森田と江副の意図を測りかねる声が上がったが、ネット時代を生きているわれわれには馴染み深い。森田と江副は「グーグル・マップ」をやろうとしたのである

などですが、江副浩正、森田康（日本経済新聞）、真藤恒（ＮＴＴ初代社長）といった、昭和を代表する起業家が見ていた情報産業の未来と、それを潰した日本の古い産業社会について批判が込められた内容で、とても刺激的で一気に読んでしまう、オススメの一冊です。